組織の3要素:調子の良かった頃のベネッセコーポレーションから、強い組織のありかたを考える

1 社是・社訓は古いのか

社是
・われわれは教育文化産業を通して社会に貢献することを誇りとし、この仕事を伸ばすことに生きがいと強い使命感を持つ。
・われわれは社会正義に徹し、夢と若さと愛情を合言葉として、常により良いものを求める姿勢で社業の発展に全力を尽くす。

私が所属していた福武書店(現ベネッセ)の社是です。このほかに社訓が5項目あり、毎朝唱和しておりました。

30年以上前のことなのに、なぜ覚えているかと言えば、大掃除で古い業務日報がでてきたからです。

左は「わたしの記録」という業務日報。毎年年末に製本してもらったように思います。

ページめくっていると、自分の日報に上司がいろいろとコメントをつけており、極めつけは、当時の福武社長から、大きく「バカ」と書いてあるページもありました。

当時の業務を思い出しながら懐かしく読み返しました。
日報のトップページに社是・社訓が載っており、当時の会社がどれだけこの社是社訓を大事にしていたのかを思い出します。私自身、社名がベネッセに変わって、ほどなくして退職いたしました。その後は社是・社訓の唱和などはなくなったとききます。

かなり会社の教育効果もありますが、在籍時は本気でわれわれの仕事は「社会に貢献しているんだ」と誇りを持っていなことを思い出します。

経営学者のチェスター・バーナードは組織成立の3要素として、1 メンバーが共通の目的をもっていること(組織目的)2 メンバーが組織に対して積極的に関わる姿勢(貢献意欲) 3 良好なコミュニケーションがあること と述べています。

社是社訓を明確にし、大きな判断基準としてそれが使わるという意味では、当時は組織目的が明確だった思います。
最近やや社是社訓なども復活しているようですが、メンバーの目的がばらばらで組織力が発揮できるはずもありません。大切なことは、言葉を作ることではなくて、メンバーに意識させ・浸透・実践させていくことです。

2 貢献するための誘因はなんだったのか

組織に積極的に関わろうとした誘因は何だったのかと振り返ってみますと、たしかに不満のない報酬というのが前提ではあるのですが、それ以上に「自由に発言させてくれる社風」「あるべき姿をバカにせず愚直に追い求める社風」などが自分の性分にあっていたのかもしれません。
またここで、社是・社訓の話に戻るのですが、「社会に貢献している」という使命感も確かにあったように思います。
だから従業員満足度(ES)も高かったように思います。

ESが高いから、コミュニケーションがよくなるのか、コミュニケーションがよいからESが高まるのかよくわかりません(多分両方でしょう)が、組織内コミュニケーションも良かったと思います。

前述した「わたしの記録」の中表紙に、創業者の福武哲彦氏の言葉が載っています。
引用しますと「わたしの記録の目的:会社の規模が拡大するとマンツーマンの対話が思うようにできなくなる。コミュニケーションの太いパイプがつまりやすくなり、不平不満が所属長の耳まで届かない。また、これはと思うような良い提案もそのまま埋もれてしまう。(中略)つまり、下意上達・上意下達がスムーズにいかなくなり、思うように実績をあげることが容易でなくなる。そこで研究の結果生まれたのが『わたしの記録』である」

日報を報告書と捉えるかコミュニケーションツールと捉えるかで活用具合は大きく変わってくると思います。
わたしのいた部署では、「わたしの記録」を全メンバーに回覧し、各メンバーが自由にコメントをつけていました。

仕事はいまでしたら「ブラック企業」と名指しをされるほど、キツかったのですが、よく飲み、よく遊び、よく仕事をした時期でした。
どんなに仕事がハードでも別に苦にならなかったのは、背後に使命感・やりがい・顧客から感謝される喜びを覚えたからだと思います。

3 まとめ

ふりかえると当時の福武書店はバーナードの3要素を忠実に守っていたのだと思います。
それも単にお題目に終わらせることなく、社是社訓、わたしの記録などのツールに落とし込み、組織全体で考えていたと思います。

とくに社是社訓(経営理念と言い換えてもいいかもしれません)は会社の規模の大小を問わず考えてみることが必要ではないでしょうか。
企業を多々回っていますと、たしかに、社是社訓や経営理念が飾ってありますが、社員はそれに無関心だし、会社はその理念とかけ離れた行動をしているなんということはよく見る光景です。

一度、会社の存在意義をできれば社員を交えながら考えていくというのも意義があると思います。

名簿データ流出後、あまり良い話がニュースにならないベネッセですが、わたしの仕事の価値観を作ってくれた会社です。
先人のDNAを受け継ぎ、なんとかこのピンチを凌ぎ、また一つワンランクステージをあげてほしいと思います。

 

 

 

 

 

 

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