マーケティング:事例から考える「競争を回避する3つの視点」

1  「ブルーオーシャン」って何?

 

 

よく、「ブルーオーシャン戦略が・・・」というような話を聞くことがあると思います。私も研修やセミナーでお話することはあるのですが、たまに「ブルーオーシャンの意味がわかりません」と受講生に質問されることもあります。
講師として言葉の使い方を勉強させられる瞬間です。

ブルーオーシャン戦略は(欧州経営大学院)教授のW・チャン・キム (英語版)とレネ・モボルニュ (ドイツ語版)が著したビジネス書、およびその中で述べられている経営戦略論。
競争の激しい既存市場を「レッド・オーシャン(赤い海、血で血を洗う競争の激しい領域)」とし、競争のない未開拓市場である「ブルー・オーシャン(青い海、競合相手のいない領域)」を切り開くべきだと説く

とWikipediaにあります。

どんなビジネスでも「競争」があります。商品・サービスが提供できる便益が同じようなものだったら、顧客は価格が安い方を選びます。ですから、顧客に対して突出した便益=付加価値を提供することで、価格以外の選択基準を提供していくことが「ブルーオーシャン戦略≒競争回避の戦略」につながって行くと思います。価格以外の選択基準を提供していくことこそ、「商品力の強化」になります。

2 競争回避の3つの視点

ここでは私が体験したり、見聞した事例を紹介しながら、競争回避の3つの視点を提示したいと思います。

競争回避の3つの視点

  1. 訴求ポイントをつくる
  2. 訴求ポイントをかえる
  3. ターゲットや機能を変える

1 訴求ポイントをつくる

当たり前のはなしですが、まずは価格以外の訴求ポイントを作ることが必要です。
以前、新上五島町で「五島うどん」振興のお手伝いをしていたときです。全国の地域ブランド開発の仕掛け人の方に来ていただきセミナーを御願いいたしました。
その中のお一人が道の駅萩しーまーと 駅長/ふるさと萩食品協同組合 専務理事の中澤さかな氏でした。
道の駅といっても、「萩しーまーと」は観光客がターゲットではなく、地元のお客様がターゲットでした。。
いわゆる「地産地消」です。中沢氏自身論文で述べているように地産地消のメリットを以下のように整理しています。

半径 4 里で獲れたものを食すれば、健康にすごせる(養生訓)
①鮮度が良い(味は素材の鮮度が勝負)
②素性がわかるので安心(トレーサビリティ)
③中間マージンが少ない(コストパフォーマンスが良い)
④輸送費・保管費などが少ない(エネルギーの消費削減)
⑤季節の移ろいを食で実感できる(心豊かな生活)

とにかく「鮮度」が大切です。萩は海に面していますから、少々の鮮度では顧客は驚きません。そこで、考えたのが「船上血抜き」という方法。漁協と協力して船の上で血抜きして、港について即出荷。船上で血抜きをすることで、加工の時間を短縮し、まさに「とれとれの味」を実現。「鮮度がよい」理由も顧客にキチンと説明できることによって、魚にも付加価値もつき、県外にも出荷していったとのことでした。

単に「鮮度がよい」というだけでなく、「もうワンランク上の鮮度」「なぜ実現できるのか」という点をキチンと説明できるのがポイントだと思います。

とくに消費財(一般顧客向け)の商材やサービスを提供している会社は「時間」「場所」「使う場面」を変えてみることで付加価値が生まれたりいたします。

2 訴求ポイントを変える

以前、中小企業基盤整備機構で支援機関(商工会・商工会議所・金融機関・中小企業団体中央会など)の支援(中小企業支援ネットワーク強化事業)をおこなっていたときの青森県の事例です。
その会社は大間のまぐろを築地市場におろしているお店でした。

ただ、「大間のマグロの会社」とだけ情報発信しており、顧客からはなにが特徴なのかがよくわからない状況でした。
この会社を担当したコーディネーターが十分なヒアリングをおこなった結果、以下のことがわかりました。

「この会社は築地にマグロを卸しているだけでなく、マグロの目利きに関しては築地のプロからも高い評価を得ている会社である」

そうです。この会社は単なる「大間のマグロの会社」ではなく、「マグロの目利きでプロからも高い評価を得ている会社」だったのです。

ただ今まで「目利き力」について全く情報発信されていなかったので、顧客はその価値に気づかなかったのです。

訴求ポイントが明確になれば、「プロの仕事」「目利き」という点を徹底的に訴求。ネットでの売上も上昇しだしました。

「本来訴求すべきポイントを企業が把握していなくて情報発信していない」こういうケースはかなり多いと思います。

結構こういうときがコンサルなど第三者を活用する良い機会かもしれません。

3 ターゲットや機能を変える

マーケティングの基本として「ターゲット」「ターゲットのニーズや困りごと」「自社商品ができること(機能)」の3つを考えます。
私はセミナーなどで、「売る商品が決まっているのなら『自社商品ができることは何か(機能)』『その機能を喜ぶ人は誰か(ターゲット)』『なぜ喜ぶのか(ニーズ)』の順番で考えてください」とお話しています。

下は「キュピカ」という商品です。キュキュッと爪を磨くと、ピカッと光るというところから命名されました。

表面は何色でも印刷ができますし、形も丸、四角、不規則な形状など自在に加工できます。

 

実際にキュピカで磨いた爪とそうでない爪を写真にしてみましたが違いは分かりますでしょうか?

「キュピカ」は爪磨きなのですが、「置いてあるだけでは爪磨きとわかりにくい」というのがこの商品の弱点でもあります。

実際にこの商品で爪を磨くとたった何秒かで爪がピカッと光るので「うわぁ」といった感嘆の声が上がり、みなさん一様に驚かれます。

で、この商品の販路開拓を考えたときです。

最初のシナリオは

  • この商品ができること=爪みがき
  • 誰が喜ぶのか=看護師など職業柄マニキュアを塗ることができない人たち
  • なぜ喜ぶのが=女性が潜在的に持っている「美」への欲求を安価で叶えることができるため

としてみたのですが、どうもしっくりきません。なんか無理やり作った感があって。

色々と考えた末、この商品は「爪が磨ける」ということではなく「相手を驚かせる」というのが一番訴求すべき機能ではないのかと考えるようになりました。そこで、できたシナリオは

  • この商品ができること=相手を驚かせること
  • 誰が喜ぶのか=マンションや自動車なぢ高額商品を販売している営業パーソン
  • なぜ喜ぶのが=相手を驚かすことで印象に残り、会話の糸口をつくりやすくなる

キュピカを「爪磨き」としてではなく「販促グッズ」として売ることを提案いたしました。

具体的には下のように名刺としての活用を提案しました。

中小機構の販路開拓コーディネート事業にも採択され、販促商材としての活路も確認することができました。

3 お伝えしたいこと

今回3つの事例を紹介いたしました。

競争回避のために商品の付加価値を高めるためには新商品・新サービスを開発するということも大切な視点です。

「ただ、その前に今の商品・サービスを見直したり、訴求ポイントを変えるだけでも可能な場合がある」これが今回お伝えしたかったことです。

 

 

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