社内勉強会:成果につながる5つのポイント

1  時間のムダになるかどうかは段取り次第

研修で「仕事の中で『ムダだなぁと思う時間』は何か?」ときくことがあります。

その中で必ず出てくるのが「会議」。
会議自体はムダとは思わないのですが、話を聞くと「なぜ、自分が出席しているのかわからない」「ただ、資料を読み上げるだけ」といった声がよく聞こえてきます。

今、私は社内勉強会の推進をしていますが、これも、役割の分担・事前の準備ができていないと、単に時間のムダにつながりかねません。
私が社内勉強会をひらく上で成果につながるための5つのポイントを紹介したいと思います。

  1. ディレクター・ファシリテーター
  2. 勉強会全体スケジュールと毎回のタイムスケジュール
  3. 書き込みフォーム
  4. 議事録
  5. テキスト・宿題

1 ディレクター・ファシリテーターの存在

勉強会の目的や全体の構成を考えるのがディレクター、毎回の進行を担当するのがファシリテーターという具合に使い分けています。通常は両方を兼ねることが多いです。
ディレクターの役割は、目的.全体の構成.成果について事前に考える事になります。

私どもでこのような勉強会をひらく際には、自主開催ということはありません。社長や経営陣が「社員にこういう能力を道つけてほしい」「社員にこういう問題を検討してほしい」という意志があります。多いのが「後継者にバトンタッチする際に、後継者を中心に今後の戦略を立てたい」などというものもあります。

こういうときに、まず、成果(ゴール)を決めておき、そこから逆算して、各回で何を決めていくかという全体構成を決めていくことになります。

成果は、単に「勉強会を開きました」というものではなく、通常は成果物(勉強会を通して制作したもの)となります。

上記の例で行けば成果物は戦略計画書となります。

2 勉強会全体スケジュールと毎回のタイムスケジュール

社内勉強会は会社の規模や目的にもよりますが、だいたい5回程度で1つの結論を出すことが多いようです。目的に沿って毎回何をやるのかを一覧できる表を作成することが必要です。

私の場合は1回目は「意識合わせ・必要知識の学習」というのにあてます。
「意識合わせ」はこの会の目的・目指す成果を全員で共有してもらうことです。ここをいい加減にすると勉強会の参加が単なる面倒な仕事の一環と思われかねません。
会社から選ばれたメンバーである点、会社の期待などを強調しておくことが必要です。

「必要知識の学習」はこれから議論していくのに、参加メンバーが同じレベルで会話できることを目的としています。
マーケティングの話をするのに「マーケティング=営業」と思っていたり、「マーケティング=販促」と思っている方が参加して、勝手に自分の意見を述べられても困るのです。
ですから、まずは共通で話ができる知識の共有は新工場大事な事になります。

毎回のタイムスケジュールは10日くらい前を目処に全員にわたします。会議までの作業が必要となる場合は、それを書き添えます。作業してもらった文書などは事前にディレクター役に送ってもらい、会議までにまとめて資料として作成いたします。
当日の会議のスケジュールには、開始時間・終了時間、検討項目とその内容、その会のゴールなどを決めておきます。

3 書き込みフォーム

人間不思議なもので、「会社の強みを自由にあげてください」というよりも、「各人がこのフォームに会社の強みを10項目づつ書き込んでください」と言った方が作業がしやすいようです。また、フォームを決めておくと、ある程度書き方も統一され、各人意見をまとめ・整理する際もラクになります。

フォームは特別なものはなくワードやエクセルで作成します。

商品☓☓の優位性 評価 解決できる問題・提供できる価値
     
     

評価基準 A:当社の独壇場 B:訴求している競合は1・2社あるが、機能は当社が優れている
C:機能は当社が優れているが、他社も相当数訴求している

例えば自社商品の優位性を検討する際は上記のようなフォームに書き込んでいただきます。

4 議事録

コンサルになって中小企業に伺い、いろいろと会議を行っていくなかで、大半の企業が「議事録を取る文化がない」ことにびっくりした覚えがあります。
これがないと、何が議論されたのか、なにが決まったのか、次回までの宿題は何なのかがわからず、会議の生産性を大きく下げてしまいます。

議事録は担当者を決めて議事録作成に専念していただきます。議事録は会議終了後にも全員が会議の内容を確認する重要なものであり、担当者にはその意識付けを行ないます。

終了後に議事録担当者に作成を一任するよりも、会議の項目の終了後になにが決まったか、宿題はなにかを発表してもらい、節目節目で確認していきます。

5 テキスト・宿題

事業計画などを策定する際に、何か参考になるテキストを1つ準備すると流れを押さえる上でスムーズになります。
テキストは何を選ぶかですが、あまり詳細なものは、勉強会の共通テキストには向きません。考える流れ、それぞれのステップで何を考えるかなどがコンパクトにまとまっていれば十分です。

「宿題」というと大げさなのですが、社内勉強会で成果をあげるためには毎回のインターバル中にある程度の作業をしていただくことが必要となります。そのために、「何を・どのようにするか」をインターバル中の個人任せにするのではなく、その部分を会議の時間で検討しておくことが必要となります。

 

2 最後の成功要件

以前、「経営幹部の育成」というテーマで、勉強会の打診があり、打ち合わせに行ったことがあります。社長の話を聞いていると、とにかく人任せ。内容を任せていただくのはまぁ、わたしの仕事のうちとは思いますが、「社員がどうなってほしい」という明確な言葉がない。いろいろと質問していくと、どうも面倒くさそうでした。

この話は結局お互いが断るということになりました。その方がお互いハッピーだったと思います。

社内の勉強会が成功に導かれる最後の要件は「トップの意気込み・関与」ということではないかと思います。
何を期待しているのかをトップ自らが参加メンバーに示すこと。とくに報告会に参加し、メンバーをねぎらうこと、当間のことかもしれませんが、こういう繰り返しが強い組織を作ると思います。

 

 

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