社内勉強会:研修参加者が辛い思いをするのは理不尽だろう?

1 「役にはたつ」が「使えない」というアンケート結果

以前、福岡県庁の階層別研修を担当させていただいた事がありました。あるとき県庁の担当者の方が、研修の役立ち度を測定したいという要望があり、アンケートとヒアリングを実施しました。
役立ち度と活用度という2つの軸で調査をいたしました。
アンケートの結果、役立ち度は高かったのですが、活用度はそれに比べると低い。
そこで、ヒアリングでそのあたりを聞いてみたことがあります。

ヒアリングででてきた圧倒的な答えは、「上司が同じ知識をもっていないので理解してくれない」とか「職場の仲間が知識を共有していないので使いづらい」といったものでした。

だからコミュニケーションのスキルのような個人ですぐ活用できるものは「役立つ」のですが、戦略立案やマーケティングのフレームなど系統だったものは難しい。
上司や同僚が知らないため、伝えていこうとしますが、往々にしてそういう姿勢は周りから疎まれたりする。結果として「使えない」という感想になるみたいです。

逆の話もあります。これは中小企業の話になるのですが、社長は一生懸命勉強している。それを懸命に社員に伝えようとしているのですが、社員の方は知識がないので、社長の話している「単語」がわからない。で、社長のほうが孤立したりする。

研修に参加した人が職場で浮いたり、孤立したりするのは、おかしくないっすか?

「本当に会社の役に立つ研修を行おうとするなら、組織が知識を共有する必要がある」
これがそう考えたキッカケです。

2 「理屈はわかるけど、で、自分の会社でどうすりゃいいの?」というはなし

もう随分前の話になりますが、家業をついで二代目経営者だった時期があります。二代目経営者になった途端、後ろで「バーン」という大きな音が聞こえました。バブルが弾けた音でした・・・。

当時うちの会社が売上が8億程度のころ、長期借入金が42億ありました。まぁ、借りる方も借りる方ですが、貸す方も貸す方です。バブル時代にはよくあった話ですが。

毎月元金2000万円、金利1000万円の計3000万円は払わないといけない。まだ、借り入れ金利が7~8%くらいの頃。民事再生法というのもなかったなぁ。

閑話休題。

資金が足りないのは明白。私が帰る前まで、それでも会社が回っていたのは、うちの事業が日銭商売の会社だったから。
まったく経営の知識がないのでセミナーや研修にも参加しました。

確かに勉強にはなりました。それまでは原理原則も知らないわけですから、知識は増えたのです。ただ、こちらは資金繰りに追われている経営者。そこから先が本当は知りたい。知りたいけれどそれを教えてくれる人がいない。
だいたい、セミナーや研修のケースで取り上げられるのは超優良企業が多い。財務だと花王、経営戦略だとGEなどがよくケースとしてでてました。ただ、こっちは自己資本がマイナスなんですが・・・。
まぁ、あんまりボールド体にしてまでいうこっちゃありませんがね。

いちばん役に立ったのは、父親の友人の経営者の方の話。
まぁ、実に緻密に実践的に教えていただいました。それでいて厳しく、宿題もたっぷり出されました。宿題といっても自分の会社の話ですから、当然考えなくては行けない問題なわけで、宿題という形で考える方向性が明確になったのがありがたかった思い出があります。

同じような事を考えていらっしゃる経営者の方もおられるのではないでしょうか。

これが、「本当に会社の役に立つためには自分の会社のケースで考える事が必要」と思ったキッカケです。

3 社内勉強会で必要なもの

会社の問題を会社のケースと会社の数字で考えていくことは、ちょっと手間かもしれませんが社員教育としてとても有効だと思っています。私自身は戦略立案とかマーケティング・コンセプト立案とかに携わることが多いのですが、はじめは表情にクエッションマークが浮かんでいた社員の方も、やるうちに、表情が変わってくるのがわかります。本来、人間はやるべきことがわかれば、考えることが好きな動物なんだろうと思います。
社内勉強会を実施するうえで、必要に思うことを3つあげてみました。

① 基礎知識の勉強:いくら自社のことは自社がいちばんわかっているといっても、原理原則がわかっていないと独りよがりな結論になりかねません。やはり、社内で取り上げるテーマのベースとになる知識は参加者で共有しておく必要がります。

② ファシリテーターの存在:ここでいうファシリテーターは単に勉強会の進行だけでなく、全体のカリキュラム・この勉強会のゴール、全体の進行管理などを含むと思ってください。この方の人選が鍵です。通常は組織に影響力を持つ方が努めるべきです。

③ 発表会の開催:通常勉強会で考えたことは書面にまとめます。その成果を経営陣や社内で発表することは社員の勉強会へのモチベーションを保つうえでも重要です。そして、経営陣は最初は内容はともあれ、真摯な態度で勉強会に取り組んでいたとするなら、そのことをほめていただきたいのです。

なぜ、それが必要なのかは下記にまとめてあります。ご参照いただけれと思います。
http://kaishadebenkyou.site/2017/08/11/arcsmodel/

 

 

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