新任管理者研修:柱はリーダーシップ・問題解決力・コミュニケーション力

4月、5月は新入社員研修ももちろんなのですが、新任管理者研修が増える時期でもあります。
ここでは中小企業大学校直方校で行った「新任管理者研修」の内容について解説いたします。
コース自体は3日間コースですが、私の担当は2日間コースとなります。

1 目的と全体概要

本コースの目的は新任管理者になったばかりの方に「管理者の役割」を自覚していただき、人・時間・仕事の管理をどのように行うかを学んでいただくことを目的としています。

また。単に「学び」で終わることなく、会社に帰って何を行いたいかという「自社で何を取り組むか」という自主目標を決めていただき宣言していただくことをゴールとしています。

全体の構成は以下のとおりです。

  1. 管理者の役割認識とチーム運営
  2. 仕事と時間の管理
  3. 職場の問題解決の視点
  4. 部下育成とコミュニケーション
  5. 自らの取組目標の策定と目標発表

 

2 カリキュラム

1 管理者の役割認識とチーム運営

 

まず最初に「管理者がいない組織でおこる不都合」について考えていただきます。
たいていは「時間」「プロセス」「結果」が管理できないという声があがってきます。

みなさん「組織に管理者は必要」だということは十分理解していらっしゃいます。しかし、一方でプレイイングマネージャーとして実務も同時に抱えると、管理者の仕事よりもプレイヤーの仕事を優先する方が多い。さぁ、どうしましょうか?という問題提起を行います。ここのセクションでは問題提起までです。詳細は次のセクションで解説することとします。

ついで、組織においてリーダーの必要性について考えていきます。
ここではシミュレーションゲームを使って個人のパフォーマンスとチームのパフォーマンスを比較します。

操作しているわけではないのですが、99%チームのパフォーマンスが個人を上回ります。
なぜ、チームのパフォーマンスが上回るのかをグループで考えていただきます。

ここでチームがパフォーマンスを発揮できる条件を2つ説明します。

  1. チーム内でリーダーが決まっていること。
  2. メンバー間にコミュニケーションがあること。

ここで、チームリーダーの存在、リーダーシップについて紹介いたします。

リーダーシップでは「PM理論」について紹介していきます。
リーダーシップの源泉は「メンバーからの信頼」ということになるのですが、受講者の方々に学生時代から今までの恩師・先輩・上司で「信頼していた人」を思い浮かべていただき、その行動の特徴を考えていただきます。

その行動をPの行動、Mの行動に分けてみて、リーダーの行動特性や自分の傾向を把握してもらいます。

2 仕事と時間の管理

最初に「中村主任の1日」というケースで討議をしてもらいます。
この中村主任、次から次に予期せぬ出来事に遭遇し、結局1日の目標が未達のまま1日が終わってしまいます。

生産性というのは「アウトプット÷インプット」という公式で表されます。アウトプットが同じなら、分母のインプットを削減することで生産性の向上がはかれます。通常、インプットされる資源には「人、金、時間」などが入ります。このうち、ある程度個人でのコントロールがきくのが「時間」ではないでしょうか。

仕事の優先順位は下のマトリックスで整理されることが多いです。

ここではグループ討議を通して、実際の仕事の中からC・Dの仕事を見つけ、どのような改善策があるか。
自分のB領域の仕事(時間の制約はないが考えておくべき仕事)は何かについて確認を行います。

3 職場の問題解決の視点

 

問題を解決する視点として

  1. 数字から考える
  2. 図で考える
  3. 柔軟に考える

という3点から説明を行います。

1 数字から考える

管理者になれば好きとか嫌いではなく、数字で考えることは必須です。
ここではかんたんな損益の計算の仕方を紹介したのち、とあるホテルの支配人となっていただき、数字からこのホテルの問題を考える練習を行います。

たとえばこんな感じです。

【売上と売上総利益】                          (円)

 

一昨年

昨年

今年

売上

300,687,000

305,359,000

279,991,500

うち宿泊売上

211,335,000

208,780,000

193,267,500

うちレストラン売上

89,352,000

96,579,000

86,724,000

売上総利益

232,818,900

232,767,800

211,543,050

うち宿泊利益

170,272,500

165,162,500

150,836,250

うちレストラン利益

62,546,400

67,605,300

60,706,800

 

【その他管理資料から】

 

一昨年

昨年

今年

客室稼働率

75.0%

78.8%

75.0%

業界平均稼働率

67.4%

69.5%

68.7%

同一エリア内平均稼働率

72.0%

74.0%

74.0%

客数合計

21,900人

22,995人

21,900人

うちリピーター

15,330人

15,637人

14,235人

レストラン単価

6800円

7000円

7200円

数字からいろいろな問題を掘り下げていただきます。

数字を見て「売上が下がっている」という問題を設定することも間違いではありません。しかし、実数と比率で数字を見ていくことで,、もう少し深い問題設定も可能です。管理者としてどちらの問題設定がその後の問題解決に結びつきやすいかは当然ながら後者です。
数字のワークを通して、そういう点に気づいていただきます。

2 図で考える

情報を整理するときに図式化は有効な手段です。
自分が考える際にも役に立ちますし、人に説明する際にも役に立ちます。
ここではMECEを用いて、4象限のマトリクスを作る練習、それを活用してツリー図を作る練習と、情報のつながりを図示する練習を行います。
研修でも実際に行うのですが、下記の文字情報をわかりやすく図式化するとすれば、どんな図になるでしょうか?

歴史学の研究の進歩や新しい発見によって、歴史教科書の記述が変わりつつある。たとえば、最新の学習指導要領から「鎖国」という記述がなくなった。また、聖徳太子も厩戸王(聖徳太子)と記述が変更されることとなった。一方、国の教育方針である「グローバル化への対応」として、「ムスリム商人の役割」などの記述が加わった。

情報の関係性を図式化する練習をした後に、1つのケースを用いて、OJTトレーナーの聞き取り調査から、問題となる情報を図式化し、原因を探る練習を行います。

3 柔軟に考える

「仕事とはサイエンスとアートである」という言葉があります。情報を緻密に分析する「サイエンス」の部分と柔軟に発送するアートの部分が必要ということで、なるほどそのとおりと思います。
ここでお伝えするのは以下の3点です。

1 ゼロベースで考える。

  過去の経験から発送するとどうしても制約条件が先に出てしまいます。ただ、アイデアを出す段階ではその制約条件がヤッカイになります。まず、アイデアを出す段階では「量」が必要だからです。
 ゼロベースの発想のひつ旺盛を説明した上で、簡単なミニワークを行います。
「みなさん、離島で成功するビジネスってどういう物があるでしょうか?」
ゼロベースで考えてみてください。

2 手持ちの情報で仮説をつくる

情報は無限にあります。ですから、全部の情報を収集することは不可能です。現在の手持ちの情報でアイデアを出したり考えたりする必要があります。(そういう意味でも日ごろの情報収集が大切です)
例えば、博多東京間の距離を聞かれたとき、どう答えますか?
知らない場合は「知らない」と答えるのでしょうか?
ビジネスの場面では知らないながらも答えを出さなくてはならない場面が数多くあります。

たとえは、上のように距離を聞かれると「距離=速さ☓時間」という公式が使えそうです。
距離そのものを知らなくても、新幹線の「速さ」や「時間」はなんとなくわかりそうです。べつに100%正しい答えでなくてもいいのです。大体の勘所を押さえて、考えていくことが大切です。

そんな考えを理解したら、「青汁の1年間の市場規模」を類推してみてください。

3 アイデアの量をだす。

アイデアを出す段階ではまずは「量」が必要です。
ここでは「ブレインライティング」というアイデアの発散技法を紹介いたします。
またアイデアの収束技法としては、カードを使った収束技法を紹介いたします。

4 部下育成とコミュニケーション

1 コミュニケーションの原理原則

ここではコミュニケーションの原理原則について学んでいただきます。
具体的には、コミュニケーション時に無意識に行っていること、言葉以外の情報の重要性、質問の仕方、傾聴姿勢などをロールプレイングを交えながら学んでいただきます。

2 部下育成

上記のコミュニケーション技術を使いなながら、部下への意見の引き出し方や教え方をロールプレイングで行っていきます。また、ARCSモデルを紹介し、動機付けのフレーム日ても紹介いたします。

5 自らの取組目標の策定と目標発表

今回の研修で学んだことをどのように、自分のしごとに落としていくかについて考えていただき、発表をしていただきます。

このカリキュラムは2日研修で実施されます。1日研修や半日研修も内容相談の上承っております。
新任管理者のスキルアップをお考えの企業にご提案いたします。

 

 

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